サポーターが実践する「共感」でつながるコミュニケーション

ヘルパーリンクでは、サポーターの一人ひとりが主人公、大切な仲間であり、共に成長していくパートナーです。多様性の中で運営している私たちが大切にしなければいけないことは、サポーター個人個人のオリジナリティを大切にすることです。

そういっても、ヘルパーリンクという1つのサービスを運営していくためには、ある種、定量的なサービスベースを形成していくことは必要不可欠であり、それがもしかしたら「利用者満足度」や「客観的業務評価」なのかもしれません。

その指標・ベースとなるのが利用者さんとの間に発生する「コミュニケーション」です。今回は、ヘルパーリンクが考えるコミュニケーションとその目的について書いていきたいと思います。

記事では、以下のことについて書いています
  • ヘルパーリンクのサポーターが大切にする「共感コミュニケーション」とは
  • 感情に寄り添うことで相手を理解する
  • これからさらに求められる「心のケア」の大切さ

石川世太

コミュニケーションの講師世界と変わるコトバ研究所

 

今回、コミュニケーショントレーニングを実施するにあたって石川世太さんにご指導いただきました。

ヘルパーリンクのサポーターが大切にする「共感コミュニケーション」とは

ヘルパーリンクで活動しているサポーターは、他の仕事をやりながらの複業だったり、メインの仕事が休みの日にサポーター活動をしていたり、現役を引退して地域のために何かやりたい、、、などさまざまなバックボーン・状況の方が集まっていて、まさにヘルパーリンクは多様性の中で運営をしています。すると必然的に、統一した価値観の共有やサービスクオリティの部分にばらつきが出てしまいます。

人によって違うというのは、ある意味人間味があっていいのかもしれませんが、サービスとして考えた時には部分は、不安要素にもなってしまいます。

介護保険サービスとちょっと違うヘルパーリンクの特徴の1つは、「資格の有無」はそこまで重要視しないということです。もちろん、利用者さんのリクエストに応じて有資格者で対応することはありますが、例えば、"介護の資格を取り立ての1ヶ月目の有資格者"と"介護の資格はないけど家族の介護を20年以上経験している人"の介護スキルを比較した時に、おそらく後者の方が実践力は高いと思います。こんな事例から、ヘルパーリンクでは肩書きやネームバリューよりも、その人自身が持っているスキルや利用者さんが求めていることに応えられるか?という点を重視しています。

現場での依頼は非常に多岐に渡りますが、実はここ最近、ある傾向を感じています。それは、「コミュニケーション>サポートの技術」ということです。依頼内容を完璧にできるのはとても素晴らしいことですが、利用者さんからフィードバックを頂いた際によく言われるのは、「あの人はほんといい人ね、優しくてまた会いたいわ」などと言った、その人のパーソナリティや当日利用者さんと交わしたコミュニケーションについてなんです。

業務効率を考えると、言われたことを真面目に実直に淡々とこなすことの方がよしとされるのが従来の企業サービスなのかもしれませんが、実は利用者さんの満足度は、「人としての付き合い」の方が業務効率以上に重要視される傾向にあります。

もちろん、仕事中に話ばかりしていて作業が進まないのは問題ですが、多少手を止めてでも「今日は調子どう?」「こんなこと困ってるんじゃない?」といった、現場でしか見えないその人の日常から出されているメッセージに対して、声を拾って応えてあげる。

相手が高齢者だから、「毎日退屈なんだろうな〜」とか「こんなに散らかってて気にならないのかな?」などの表面的に見えてる部分だけで相手を判断するのではなく、相手が感じている気持ちや思いに寄り添っていくことをヘルパーリンクでは大切にしています。

 

感情に寄り添うことで相手を理解する

今日のワークでは、鹿児島の石川さんとZoomでつながりワークやミニセミナーを開催していただきました。

 

現場で何のトラブルもないのは、それは素晴らしいことですが、正直そんなことはありません。些細なことや、ちょっとしたやり方・考え方の違いでミスコミュニケーションが発生してしまうのはある意味自然の流れです。利用者される方の多くは、人生80年以上の価値観があり、サポーターは10代もいれば、主婦もいたり、割と利用者と年齢が近いサポーターなどさまざまな人がいます。これだけ生きている時代も、経験も、価値観も、考え方も違う人間同士が素のままでお付き合いするのは、本来、並大抵のことではないんですよね。

利用者さんの中には、自分の感情を包むことなくそのままぶつけてくる方もいらっしゃいますし、その人の人間性が全く見えないくらい何かに包み込んだ自分を出してくる人もいて、初対面で相手のことを全て理解するなんてことははっきり言って不可能です。しかし例えば、サポート活動中に利用者さんが何か感情的になってしまう部分があったとき、どのよう対応するべきなのでしょうか?

実施したワーク内容

今日のワークでは、まずは、自分への共感(自分になにが起きているか、なにを感じ、なにを願っているか)のプロセス」について考える作業を行いました。

石川先生
誰か他の人が関わる出来事で、 気になる出来事、不安やもやもやが残っている出来事、怒り・いらだちを感じる出来事など、 なにかひとつ、出来事を思い起こしてください。

 

  1. 相手の人が言っていたことは何だったか、できるだけそのまま書いてみてください。(「〜〜〜」のように、カギカッコで引用できるような形で)
  2. 相手がそれを言っていたことを思うと、どんなことを言いたくなるかというと・・・ (湧いてくるままに、素直に、率直に、むしろ大げさなくらいに表現してみてください)
  3. 「2.」のように表現しているとき、自分の中にどんな身体感覚や、気持ちがあるかというと・・・
  4. 「3.」のような気持ちで、「2.」のように表現している私が、この出来事において、心から願っていることは・・・

樋谷
とある人に、「私のこと舐めてるの?」っと言われたことが印象に残っています。
僕の場合は、こんな例です。
  1. 「私のこと舐めてるの?」
  2. 「舐めてないし、なんでそんなに怒ってるの?」
  3. 「そんなこと言われて、意味がわからない。と同時に、相手を怒らせててやばいと感じた」
  4. 「平和に行きたい、相手が怒っている原因を知りたい」
これらのワークを体験することで、もともとは僕の中で「単なる苛立ち」にしか感じていなかったことが、「感情がどのように動き、本当はどうしたかったのか」を見つけるきっかけになりました。
僕達の日常生活の中で「感情」に向き合うことって少ないですよね。しかし、先にも述べたように「人間は感情が原因で行動する」ということ考えると、自分や相手が持っている感情にどう向き合うかということは、コミュニケーションにおいて重要な意味を持ちます。

これから、さらに求められる「心のケア」の大切さ

65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、昭和55(1980)年には男性約19万人、女性約69万人、高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、平成27(2015)年には男性約192万人、女性約400万人、高齢者人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%となっている。

図1-2-1-3 65歳以上の一人暮らし高齢者の動向

 

この数字が表しているのは、これからますます深刻化する高齢者の「孤立」や「孤独」の暗示かもしれません。人間は潜在的に持っている欲求の段階から考えると、社会的欲求・承認欲求・自己実現欲求の3つが「社会との関わり合い」からもたらされています。つまり、孤立・孤独になってしまい、社会への参加が低下したり、人との関わりが減少することによって、精神的な不安を感じるようになり、外的な症状(体調がすぐれないなど)となって出てきます。そうなってしまうと、ますます外部との関わりがなくなり、心身ともに衰えが加速することになってしまいかねない状況となるため、日常の生活にさまざまな部分で支障がでてしまいます。

マズローの欲求5段階説とは? 知っておくべき心理の法則 - STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア

 

そんなとき、ありのままの自分を受け入れてくれるサポーターやってきてくれて、不安な気持ちや、誰に向けていいかわからない行き場のない感情に寄り添ってくれる存在となれば、どれだけ救われることでしょうか。もちろん、全ての利用者さんがこの考えに共感してくれるわけではないでしょうが、歳をとることでできないことが増えてくること・人の手が必要になってくることは誰しもが避けられないことです。

社会保障制度上、「生活」に必要なサービスについては日本には「介護保険制度」という素晴らしい仕組みがあり、ケアマネジャーやホームヘルパーが低予算で支援をしてくれますが、その支援の外側、制度上で設定されたラインでは受けられない支援については、まさに日本全体の課題となっています。

その部分がまさに「心のケア」であり、介護保険制度の外側のサポートなのかもしれません。さらに、どれだけテクノロジー、業務の効率化が進み、便利な世の中になったとしても、人でなければ扱えない部分がこの「心のケア」じゃないでしょうか?私たちは普段、どれだけ「感情」の扱い方を勉強できていますかね?人間は見た目を見繕ったとしても、全ては「感情」が原因で動いているんだと思いますし、感情があるから人間らしさを保っていられるんだと思います。

今回のコミュニケーション研修では、介護の業界ではちょっと変わった「感情」の部分の学びを取り入れてみました。このようなベースを学ぶ機会をヘルパーリンクでは積極的に取り入れて、安心・安全・暖かいサービスをみなさんにご提供させていただきたいと思います。

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