今月のおすすめ本:「老〜い、どん!」人生後半の安心生活。してよかった25のこと。👈クリック

歳をとるということを考えてみる。Vol.3

介護のさまざまなこと

『終活』という言葉がブームになって数年経つ。 すでにブームというより定着しており、今さらではあるが、『終活』とは、「人生の終わりのための活動」の略で、自らの人生の終わりを迎える準備することを指す。

自身の葬儀や死後の事務手続きを準備している60代、70代の高齢者が増加しているという。
終活セミナーや生前葬なんかもあるから驚きだ。  

『終活』そのものを否定する気はまったくないのだが、実のところわたしにはどうしても『終活』にはビジネスの匂いがしてならなかった。
実際、終活セミナーは、葬儀関連の会社が主催することが多いし、セミナーでは生前葬儀の予約やお墓の販売など販売促進の場としてつかわれる。 エンディングプランナーという職業まで存在するくらい葬儀のプランニングには特にニーズが高いということだろう。

ブームというのは、大抵、その業界がビジネスに繋げるために意図的に煽って作り上げるものである。 毎シーズン雑誌で挙って(こぞって)特集される流行カラーだって、流行ファッションだって、コスメやファッション業界の戦略である。

『終活』という言葉は2012年に流行語大賞にもノミネートされた。

わたしがその言葉を知るきっかけとなったのは恐らく流通ジャーナリストの金子哲雄さんの取り組んでいた終活について知ったことだったと思う。
金子さんは、2012年の10月に病気のため亡くなったが、生前彼はご自身が亡くなった時に備えて葬儀の進行についても細かく決めていたという。
もちろんお墓の準備も万全だった。 自身の葬儀を見事にプロデュースしていたのだ。
最後まで、流通ジャーナリスト金子哲雄として全うするということなのだろうとわたしは解釈した。

先日、ネットの相談投稿で、下記のようなものを読んだ。

 

残された子供や孫に苦労させないように、葬儀の準備をできる限り整えてあの世へ行きたいと考えております。そのために”葬儀貯金”もしています。 葬儀の際にそのお金を使ってもらうのではなく、できればすべて手配して、前払いをし、後は当日来てもらうだけのような状態にしたいのです。 四季に合わせてお花の指定をしておくこと、出棺の時に流す音楽を事前にお願いしておくこと、通夜料理や、精進落としを指定しておくことはできますか?「おばあちゃんは大往生だったね」と言われ、笑顔で送り出され、おいしい料理を食べてもらうのが、死んでからの夢でございます。 (一部省略)

 

これを読んでわたしはわかった。 『終活』というのは、葬儀の準備をしたり、身の回りの整理をすることを単純に指すのではないのだと。 自分の人生をどう終わらすか、自分がいなくなったあと、大切な人たちにどう想い続けてもらいたいのか、それを自分自身でプロデュースすることなのだ。 最期まで自分らしく生きる、これが本当の目的なのだろう。 そして何より死という未知の世界を恐怖だけでは到底受け入れられない。

だからこそ、不適当な言い方かもしれないが、前向きに死を迎える、これが『終活』なのだと思う。
だとしたら、何歳から『終活』を始めてもいいのだろう。 でもまずは、生きている今をどう充実させるか、どう自分らしく生きるかがあってこそということを忘れないでいただきたい。