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『介護+a』 で新しい介護を創る

介護のさまざまなこと

マニラで生活をしていると面白い日本人によく出会います。

 

 

先日友達から連絡があり、私にどうしても紹介したい面白い日本人がいるからということで、早速会うことにしました。基本的に、私に会いたいと言ってくれる人にはみんな会うようにしています。用件が何であろうと、その人がどんな人であろうと、全然気にしません。私が会ってみてどう感じるかの1次情報が一番重要であり、面白い人脈というのは自分のテリトリーの一番外側から出来てくるというのを経験上よくわかっているからです。

 

ただ、今回は会う前からその人に会うのがとても楽しみでした。なぜなら、その彼は、ジャスバンドのギタリストで、キックボクサー、そして介護士という、かなりユニークなキーワードを持っていたからです。彼に対抗して私のキーワードを申し上げるのなら、指圧師で、ボクサー、そして介護士ということになります。これは会う前からワクワクするのは仕方ないですね!

 

私のお気に入りのクラフトビールが美味しいバーで待っていると、少し遅れて彼がやってきました。一目見てすぐに『体を鍛えているな』というのがわかるシルエット、社交的な雰囲気をまとい誰からも好かれそうな笑顔、意志の強さを感じる声の大きさ、そして力強い握手、『あっ、この人とは仲良くなれそうだな、この人の人生は面白そうだな』とすぐに興味を持ちました。

 

話を聞いてみると予想通り面白い人生を歩んできていました。結婚パーティ(披露宴?)を開催した2日後にマニラに単身英語留学に来て、一泊500円くらいの大部屋のドミトリーに宿泊し(クラフトビール一杯と同じ値段(笑))、そして英語の勉強をしながら、フィリピンでの音楽活動の可能性を模索しているとのことです。素晴らしい行動力と決断力ですね!日本でも仲間と一緒に音楽活動をしているようで、その活動資金を貯めるために介護士としても働いているようです。

 

介護現場の話になると一気に盛り上がり、お互いに現場での面白体験を披露しあっては笑い、共感し、介護を通して学んだ『哲学』について語りあいました。それはそれは、楽しい時間を過ごすことが出来ました!(^^)! お互いに介護士でありながらも、別の分野での専門性をもっているため、介護を様々な方向から見て、考えて、言語化して人に伝えることが出来るのだと思います。介護を俯瞰した視点で見ると、介護現場はとてもユニークで、日々面白いことがたくさん起こる、台本のない人間劇場のようなところになります。いい介護士は、いい演出家であり、また、いい役者でもあります。

 

しかし、その劇場も、台本ががちがちに決まっていて、毎日毎日同じセリフ、同じ演技を繰り返すだけのステージであれば、介護は一気につまらない仕事になるでしょうね。見ている観客もつまらない仕事に映るでしょう。

 

そんなふうに考えることができるのも、私も彼も、舞台から一度降りて観客席の一番外側から全体を眺めることができたからだと思います。あんなふうにしたらもっと楽しくなるのに、こんなふうにしたらもっと感動を伝えられるのにと、いろいろなことを感じることが出来ます。

 

2002年にノーベル化学賞を受賞した島津製作所の田中耕一氏はイノベーション創出について、『異分野融合の場こそが重要』という見解を示しています。つまり、介護+指圧師、介護+ジャズギタリスト、介護+お笑い芸人、などなど、介護+aの人材がどんどん出てくることで、日本の介護はさまざまなイノベーションを起こし、新しいステージに進んでいくのではないかと思います。

 

介護業界にどっぷりつかっているとなかなか見えてこないのですが、他業界の人たちも介護には関心をもっていますし、現場の話を聞いてみたいと思っている人もたくさんいます。冒頭で面白い人脈作りは、自分のテリトリーの一番外側から出てくると述べましたが、介護業界のイノベーションも、自分のテリトリーの一番外側にある異業界との繋がりから、生まれてくるのではないでしょうか。