つい先日、7月9日に、ジャニーズ事務所社長のジャニー喜多川さんが亡くなった。
日本で最も有名な社長といっても過言はないかもしれない。
87歳だった。彼の残した偉業はここで語るまでもなくなのだが、何よりわたしがすごいと思ったのは、所属タレントとの付き合い方がビジネスを超えて、みんなが父親と言うこと。
そして所属タレントからの愛に溢れたメッセージ。愛されていたことが容易に想像できる。
芸能界のドンなので色々な想像をしてしまうのだが、きっと愛情深い人だったのだろう。
厚労省が公開した平成29年の日本人の「平均寿命」は、過去最高を更新して、男性は「81.09歳」、女性は「87.26歳」となった。
日本の平均寿命は、世界で、男性が3位、女性が2位となっている。ちなみに男女とも1位は香港。
ジャニー喜多川さんは、寿命以上の人生を全うした事になる。
ところで、みずほ情報総研が、最近10年間に家族・近親者を看取った経験のある50代60代の男女(1,000人)を対象に「エンドオブライフ・ケアの現状に関する調査」という興味深い調査結果を見つけたので紹介しようとおもう。
介護保険制度の要介護認定者数は、高齢化に伴って、644万人にまで増加している。死亡数も年々増加し、2016年には130万人にまで増加している。
一方、同時期の出生数は98万人に減少しており、わが国は既に少産多死社会を迎えている。
本調査で取り上げたエンドオブライフ・ケアとは、「いのちの終わりについて考える人が、最期までその人らしく生きることができるように、いろいろなつらさに対してかかわり、いのちや生活の質を高めることを目指すケア」を表すもの。人は自分の死を看取ることはできず、誰かの手を借りなくてはならない。
長寿化、人口減少、核家族化が進む中、看取りの実態と課題を把握することは避けて通れなくなっている。
主な調査結果は以下のとおり。
- 亡くなる1年前と2~3カ月前との支援の頻度を比較すると、「定期的(月数回以上)に世話をしていた」が45.3%から55.8%に増加。また、「病院・施設の利用」は12.4%から21.0%に増加。看取りを行った方の実感としても、支援の頻度や手間が「増えた」が48.2%。
- 医師などから聞いていない場合、家族・近親者が死期を意識することは難しく、本人が亡くなる2~3カ月前でも、「本人の死が近いとは思っていなかった」が37.3%。
- 死を前にした時に本人が感じる解決することが困難な苦しみ(「スピリチュアル・ペイン」とも呼ばれる)に向き合うのはつらい」とする家族・近親者は61.1%。
「スピリチュアル・ペイン」とは、具体的には以下のように様々な言葉で表現される。
「まわりに迷惑ばかりかけて情けない」「トイレの世話になるくらいなら、死んだほうがましだ」「死ぬのがこわい」「今までしていた仕事や家事を続けたい」「家族を残していくのが心配」「さびしい」等
求められる支援としては、亡くなったご本人(32.7%)や家族・近親者(28.5%)への支援以外でも、「家族・近親者、介護従事者、医療従事者への教育・研修(看取りで連携するために必要な情報提供)」に対し、14.1%~19.1%の要望がある。
死期を予測することは難しいが、だからこそ、元気なうちからエンドオブライフをどこで、どのように過ごすのかといった自分の意思を、もう少し早めに信頼できる人に伝えておくこと等により、自分の希望を実現する可能性を高めることができる。
エンドオブライフ・ケアにおいては、死に行く人のそれまでの人生や価値観を尊重しながら、痛みや苦しみを和らげ、おだやかに過ごすことができるように、最期まで寄り添うことが重要だといわれる。本人、家族・近親者を主役として、様々な援助者・支援者が協働できるための具体的なしくみが、地域包括ケアの一貫として、地域に構築され推進されることが期待される。